RUBY EYE

君の思いのすべてを受け入れられるほど、俺はできた人間じゃない。

だから、恨むなら君を殺す俺を恨め。


十夜は、朧村正を静かに構えた。


「私を愛してると言って。ねぇ、十夜?」

「摩耶、哀れな女―――」


―――ドス・・・・・・ッ。


心臓を貫く朧村正。

しかし、傷はすぐに癒えようとする。

十夜は、引き抜き、また刺した。


月野は目を背けたかった。

けれど、真っ直ぐに見つめて、逸らさない。

背けちゃいけない。


「ほら、やっぱり十夜は・・・・・・私のこと、愛してるのよ・・・・・・」


あの女じゃなくて、私を抱きしめてる。

私の十夜。

私だけの、十夜―――。


「せめて、安らかな夢を見て―――眠れ」


ヴァンパイアの強い心臓が、その機能を終える時。

摩耶の体は、力無く倒れた。


「十夜・・・・・・愛してるわ・・・・・・」


彼女を染めるのは、赤い赤い、真っ赤な血。


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