RUBY EYE
微笑み、摩耶はゆっくりと目を閉じた。
甘くて優しい、永遠に続く夢を見るの。
そこは、きっと彼女の心を癒してくれる。
たとえ、十夜がいなくても。
「うっ・・・・・・」
「綾織くん!」
十夜が、その場に膝を付く。
まだ本調子じゃないのに、無理をし過ぎた。
―――ガサッ。
物音が聞こえて、月野は顔を上げる。
「お父さん・・・・・・?」
現れた人物に、月野は開いた口が塞がらない。
「な、なんで・・・・・・?」
「お前を迎えに来たんだ。どうやら、終わったようだな」
息絶えた摩耶を、慧は優しく抱き上げた。
「月野。頑張ったな」
微笑みを浮かべて、慧は摩耶を抱いて、二人の元から立ち去る。
頑張った?
ううん、頑張ったのは私じゃない。
「月野、泣いてるのか?」
近くにあった木に体を預け、十夜は月野の頬に手を伸ばす。
「ありがとう、綾織くん。・・・・・・ありがとう」