RUBY EYE

血に濡れた十夜の手は、冷たかった。

月野は握りしめ、震える声でありがとうと言い続けた。

“ごめんなさい”を込めた、“ありがとう”を。


彼の手を、また血で汚したのは自分だ。

それが申し訳なくて、顔を見れない。

伝えようと思っていた言葉も、言えやしない。


「月野。言いたかったことがあるんだ」

「・・・・・・何?」


俯く月野に、十夜は思いを解き放った。


「好きだ」

「・・・・・・え?」


顔を上げれば、十夜の赤い瞳と目が合った。

感情が高ぶっても、ルビーアイは表れる。

恥ずかしさと、溢れる愛情が映し出されたその瞳に、月野は心を奪われた。


見とれるほどに美しい。


「愛してる」

「私・・・・・・」


答えなきゃ。

なのに、言葉がうまく出てこない。


「迷惑なら、はっきり言ってくれ」

「違う! あの・・・・・・」


顔が熱い。


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