RUBY EYE
「・・・・・・これが限界」
「あぁ、ありがとう」
十夜が、優しく月野を抱きしめる。
「月野、愛してる」
「・・・・・・うん」
十夜の腕の中で、月野は幸せな笑顔を浮かべていた。
―――綾織本家
慧が連れて来た摩耶を見た時臣は、小さくため息をつき、肩の力を抜いた。
「すべて、終わったのだな」
「そうですね」
微笑みを浮かべる摩耶の顔。
自分達から見た最後がどうであれ、彼女には幸せな最後だったのだろう。
十夜がどんな思いで、摩耶の命を絶ったのか。
それを推し量ることはできないが、迷いはなかったと信じている。
「―――慧」
「なんですか?」
「戻る気はないのか?」