RUBY EYE
愛をあなたに
―――数日後。
夏の空は青く、白い雲が優雅に泳ぎ、緑は生い茂る。
平穏な日々は、あの事件が夢であったかのように、月野達に優しく寄り添う。
その日は、十夜の元に愛理が足を運んでいた。
「葬儀は、済んだのか?」
「うん」
玄関でいいと、愛理は摩耶の葬儀について、十夜に報告しに来た。
両親と愛理だけで行った、摩耶の葬儀。
綺麗な顔で眠る姉とは、もう二度と会うことはできない。
「愛理、俺は―――」
「十夜を恨んだりしない。責めもしない」
あのまま摩耶が生きていたら、もっと大きな悲劇を引き起こしていただろう。
「姉さん、幸せそうだったし。十夜は姉さんを救ったのよ」
辛くて冷たい現実から、摩耶は解放された。
それは、死という名の救い。
「だから、十夜が罪を背負う必要なんて、ないのよ」
罪も罰も、摩耶は全部持って行った。
「また、みんなで出かけようね」