RUBY EYE

部屋を出たところで、十夜と出くわした。


「ちょうどいいところで会えた。十夜くん、少しいいかな?」

「は、はぁ・・・・・・」


なんだろう、嫌な予感しかしない。

月野の部屋の前から移動し、慧が十夜に囁く。


「君達の仲は素直に応援しよう。心苦しいが、愛娘のためだ!」

「あ、ありがとうございます」


喜んでいいのか、微妙だ。


「だが、わかっていると思うが・・・・・・健全な付き合いをするように」

「はぁ・・・・・・」

「娘を泣かせたら―――殺すぞ」

「!」


背筋に走る、冷ややかな悪寒。

マジだ、この人マジな目をしてる。


「じゃあ、母上に挨拶してこよう」


慧は穏やかな笑みを浮かべて、十夜の元から去っていく。


(・・・・・・怖い。あの人、本気の目してた)


底が知れない男―――。


「あれ? 何してるの、綾織くん」

「・・・・・・なんでもない」


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