RUBY EYE

あんな男から、なんでこんな娘が・・・・・・。


「・・・・・・寒い」


十夜は身を震わせながら、自分の部屋に逃げ込んだ。


「? あ、小野瀬さん。花村さんはいますか?」


通り掛かった小野瀬に、椿の居所を聞く。


「椿なら出かけましたよ。何かご用ですか?」

「新しい包帯がどこにあるのか知りたくて」


腕には、まだ傷が残っている。

きちんと手当てを続ければ、傷は残らないと、椿が言っていた。


「私がお持ちしましょう」

「ありがとうございます」


月野は小野瀬に礼を言うと、2階の窓から外を見た。


青い空が、どこまでも広がっている。

今日もいい天気。










―――教会跡


燃え尽きた教会は、その姿を跡形もなく変えた。

この教会には、それなりに思い入れがあったのだが。


「・・・・・・」


美しいステンドグラスも、今はこの焼け跡の下。


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