RUBY EYE
頭を下げ、月野は全速力でその場を離れた。
よくわからないけど、あのまま、あそこに居ちゃいけない。
そんな気がした。
「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」
こんなにも走ったのは久しぶりで、3月だというのに、額にはうっすらと汗が浮かんでいる。
坂を一気に駆け上がり、今は高台へ続く階段の、ちょうど真ん中辺り。
月野は眼下を見下ろし、誰も見えないことに安堵の息を漏らした。
(なんか、顔は綺麗なのに、変な人だったな)
呼吸を落ち着け、月野は階段に腰を下ろす。
足が痛い。
「疲れた。ちょっと休憩して行こう」
荷物を先に送っておいて正解だった。
こんな階段を、重い荷物を持って上がるなんて。
「・・・・・・ふぅ」
呼吸も落ち着き、立ち上がろうとした時。
「―――おい」
「キャア!」