手をつなごう
部屋に入るとすぐシンは
倒れるように座り込み
耳を塞いで震えている

[こわい…?]

どんどん荒くなる呼吸。

また、あたしはシンを抱きしめて
何の根拠もない、
「大丈夫」という言葉を口にした。

さっきとは違って
なかなか落ち着いてはくれなかった。

激しい呼吸困難にも見え
そんな中でシンは精一杯叫び続ける。
ひどくなっていくシンの様子に
だんだんあたしはどうしたらいいのか
わからなくなっていく。

どうしよう...

シンはあたしにしがみつくように
寄りかかってきたことに気付いた。

この人も、わからないんだ...。

そう思うと、なんとかしなきゃ!!と思う。

[大丈夫だよシン。ゆっくりでいいんだよ]

あたしは自分を落ち着かせる為に
ゆっくり深呼吸をした。

シンを抱きしめたまま何度も。

すると、シンも少しずつ、深呼吸。

[うん、そうそう。ゆっくりね]

何度か繰り返していると
シンの呼吸困難もおさまり、
体の震えも和らぐ。

[よかったあ...]

安心すると、なんだか涙が溢れてきた。
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