Softly Kiss


<< シーン >>


「愛川さんいい加減にしなさい。さっきからうるさいわよ」
「あ、すみません」

「な、な、何で知ってるの?」
「俺もそこたまたま行ってて、見ちゃったんだ。」

そういって、クスクスと笑う渡辺君。
笑いごとじゃないわよ

「では、ホームルームを終ります」

そう担任が言った後、教室がざわつく。
ふと、井上君の方を見たらどんどんこっちに近づいてきた。

( 逃げよう )

そう思い、次の授業の準備をして席に立つ。
彼の横を通り、なんとか切りだすはずだった。が、

クイッと手に感触がわたる。
きゃ、井上君の手だ。

「ちょっと、ついてきて。」
極上のスマイルでそう言い放ち、私の手を握ったまま教室を出て行った。

そうして連れて行かれたのが、理事長室。
もう訳が分かんない。

コンコン、とドアを鳴らし、部屋に入る。

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