Softly Kiss

「失礼します」

私は、何がどうなってるのか分からないまま、理事長室に入った。

「おお!愛川さん、初めまして」
理事長は私にそういって、駆け寄ってきた。

「り、理事長。初めまして!」
「圭太、手を離してあげなさい。怖がってるだろ」
そういって井上君は手を離してくれた。

「えっと、愛川さんはわしと圭太が家族ってことは知ってるよね?」
「はい、一応。」
「そうして今日何でここに来てもらったかと言うとね、来月からわしは仕事の都合でアメリカに行くんじゃ。」
「はい。」
「愛川さん、君はたしか奨学金でこの学園に入ったよね?」
「はい、そうですが・・」

「愛川さんには、家政婦兼こいつと同居してほしいんじゃ」

「えええ?!い、嫌です。こんな人」
「こんな人かあ。愛川さんには悪いんだけど、もしこの話引き受けてくれないんだったら学園退学してもらうぞ」
「えええ?!」

「どうすんだよ」
笑いながら聞いてくる井上君。
どう考えてもおかしいよ、だって男と女が一緒に住むんだよ?
そんなの絶対嫌だ。しかもよりによって井上君だし
でも、この話引き受けないと学校辞めなきゃいけない。


「わ、わかりました。引き受けます。」
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