冬の桜


どれくらいの時が経っただろう。

ふいに、少年が口を開いた。

「僕は、____。君は、これから__と__。そして___…」

ところどころが聞こえない。

「なに?聞こえない…」


奏は爆風のなかそう言った。

少年はそれから再び口を動かし、ゆっくりと消えていった。

というか、姿が透けた。
そしてだんだん見えなくなっていった。


「待って!ちょっと、待って!」

自身でも何故か分からないが、奏は必死に彼を呼び止めようとした。

奏の行動もむなしく、少年は完全に見えなくなった。

その瞬間、奏の後ろ頭に、何かが思いきりぶつかった。


奏は、意識を手放した。
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