xxxFORTUNE 〜恋の魔法〜
「ところでさ、すずはいつまでこっちにいるわけ?」
あたしが愛琉さんに声をかけるか悩んでいると、恋千くんがグラスを両手で持ちながら訊いてきた。
いつまでと言われると、あたし自身もよくわかっていない。
でもあまり長居すると、きっと呼び戻されてしまうわ。
姫として、エシャルの歴史を改めて勉強しなくてはいけないし。
あまりに帰るのが遅くなるようなら、アヴァルア校長先生が人間界まで迎えに来るかも。
「今の時点では、未定……かしら」
曖昧に答えつつ、少し笑う。
「秋祭りまでいられない?」
「秋祭り?」
聞き慣れない単語に、思わず首を傾げる。
どうやら秋祭りとは、縁日のことらしい。
いっぱい屋台が出て、町が活気付くんだって。
エシャルには、そういうイベントはない。
「ぼく、ヒメと屋台回りたい!」
「ホタル、ずるいよ。
話持ちかけたの俺なのに、横取りしないでくれない?」