xxxFORTUNE 〜恋の魔法〜
だいたい、どうしてこうなるの?
あたしはただ、愛琉さんに予想したことを伝えようと思っただけなのに。
大きく深呼吸を繰り返して、部屋から持ってきた本を彼に向ける。
「これ、見て」
ページを捲り、話の内容を説明。
「だからね、つまり、人間界に妖精がいるのよ」
結論までたどり着いた時、愛琉さんは何か言いたげに息を吐いた。
しばらくの沈黙。
口を開こうにもできなくて、本に視線を落としたまま。
「いや、他にもいる……」
小さく呟くと、今度はあたしの髪へと手を伸ばして。
「なに」
不安感から質問すると、愛琉さんはそのまま髪を撫でながら告げた。
「懐かしい気配がする」
「え?」
力無い声でそれだけ言うと、崩れるようにあたしの髪から手が滑り落ちる。
「愛琉さん?」
反応がなくて何度も呼ぶけど、ダメみたい。
そのうち寝息が聞こえてきた。
眠った彼の閉ざされた瞳から、一筋の雫が零れ落ちるのが見えた気がした。