xxxFORTUNE 〜恋の魔法〜



だいたい、どうしてこうなるの?

あたしはただ、愛琉さんに予想したことを伝えようと思っただけなのに。



大きく深呼吸を繰り返して、部屋から持ってきた本を彼に向ける。

「これ、見て」


ページを捲り、話の内容を説明。



「だからね、つまり、人間界に妖精がいるのよ」



結論までたどり着いた時、愛琉さんは何か言いたげに息を吐いた。

しばらくの沈黙。

口を開こうにもできなくて、本に視線を落としたまま。



「いや、他にもいる……」


小さく呟くと、今度はあたしの髪へと手を伸ばして。

「なに」

不安感から質問すると、愛琉さんはそのまま髪を撫でながら告げた。



「懐かしい気配がする」

「え?」


力無い声でそれだけ言うと、崩れるようにあたしの髪から手が滑り落ちる。


「愛琉さん?」

反応がなくて何度も呼ぶけど、ダメみたい。

そのうち寝息が聞こえてきた。


眠った彼の閉ざされた瞳から、一筋の雫が零れ落ちるのが見えた気がした。






< 17 / 56 >

この作品をシェア

pagetop