xxxFORTUNE 〜恋の魔法〜
◇
途端に強い風が、部屋の中で巻き起こる。
一緒に真っ赤な花びらが、どこからか舞い上がって。
「ふふっ、久しぶりの人間界だわ」
美しい女性が、花びらの間から姿を現した。
リンス・アヴァルア、それがこの美女の名前。
昨晩、うっかり愛琉さんの部屋で寝てしまった。
今朝、騒動になったのは言うまでもない。
晴天に恵まれて、まだ薄着でも行動できる陽気だ。
落ち着いたところで、いつも通り定位置に座って朝食中。
「あなたたちに頼みたいことがあるの」
颯爽と現れたアヴァルア校長先生の口から、半分予期していた事実が述べられた。
「どうやら人間界に“妖精”が紛れ込んでしまったみたいなの」
ほらね、と愛琉さんに目配り。
すぐに逸らされてしまったけれど。
「そこで、みんなで妖精を探し出して集めてくれないかしら?」
つまり、今回の課題は【人間界に紛れ込んだ“妖精”をエシャルに連れ戻すこと】。