xxxFORTUNE 〜恋の魔法〜



人間界には、まだまだ知らないことがたくさんあるのね。


「ぼくを外の世界に連れ出してくれたから、お返しに、ヒメには新しいことを教えてあげたいんだ」

そう笑う彼に、あたしの心はほっと温かくなる。


佐久間さんといると、とっても癒される。

秋の風が、優しく頬を撫でていく。

木々がヒソヒソ話をするように、葉を揺らした。



「ぼくにとってヒメは、特別なんだ」



柔らかい笑顔で、あたしの右手を佐久間さんが両手で包む。

あたしも微笑み返した瞬間、それまで静かだった風が賑やかになった。


突風で、結んでいる髪が舞う。

顔にかかる髪を押さえていると、視界の端っこに光が入り込んだ。


左手に付けていたブレスレットが輝いている。

黄金色をしていたはずなのに、今は光が纏っているせいで赤い。



「きゃっ」

「うわぁああっ」



すぐそばで、突然聞こえたゴウッという凄まじい音。






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