xxxFORTUNE 〜恋の魔法〜
2人で咄嗟に声をあげて、すぐにその場から離れた。
さっきまで小さく燃えていた残り火が、有り得ないくらい大きくなっている。
自分の背丈以上にまで高く燃え盛る炎に、強張ってしまう身体。
なんとかしなきゃ。
でも、どうしたらいいの?
隣で怯える佐久間さんと、自然と繋いでいた手に力がこもる。
炎は今にも襲いかかってきそうなくらい、勢いを増していた。
佐久間さんを庇いながら、左手を掲げて目を閉じる。
気配に敏感になるとすぐ、魔力に気がついた。
これが、妖精の持つ力……。
「ヒメ、中に何かいるよ」
視界が開けると、炎の中心を指差して不安を浮かべた表情の佐久間さん。
示された先には、微かに影が見えた。
それは周囲の炎に合わせて、ゆらゆら揺れているみたい。
左手を胸元に置いてから、再び瞳を閉ざした。
ゆっくりと呪文を唱えていく。
比例するように、ブレスレットの光が強くなるのを瞼の向こうで感じる。