xxxFORTUNE 〜恋の魔法〜
あたしならできる。
暗示をかけて、ただ炎を納めることだけを考えた。
目を開け、杖を出現させ、最後の言葉を唱えて……
「わぁぁあああ」
震える叫び声をあげた佐久間さんは、瞬時にあたしの背後に隠れる。
炎の山に対抗するのは、あたしの魔力で造られた水の龍。
龍が空を舞うと、軌跡から雫が落ちて雨が降っているような現象が起きた。
ザーザーと雨音が響く庭の片隅。
そこだけ土砂降りになっていく様子が、何とも言えない。
次第に炎が弱まり、最終的に水だけが残る。
「わあー‥」
魔法を見ていた佐久間さんからは、喜びのため息。
龍が完成に消えてしまう直前、太陽に照らされた雨粒の中に虹が浮かび上がった。
水溜まりの鏡に映る七色の真上に、炎の主が姿を現す。
とっても小さくて、背中に羽を付けた少女のような。
「あなた、火の妖精ね」