xxxFORTUNE 〜恋の魔法〜
活発に見えるショートカットの真っ赤な髪の毛。
くりっとした大きな丸い目。
さっき魔力を解放したせいなのか、表情に疲労を感じた。
「ここここ.これが、妖精?」
人見知りを発揮して臆病になる佐久間さん。
あたしは杖をしまって、彼の手を握ったまま妖精に近寄る。
相手は警戒心があるらしく、身構えてこちらを睨んできた。
ケンカしたいわけじゃ、ないのだけれど。
「はじめまして、楼那す……いえ、“ローナ・ベル”です」
エシャルの住人なんだし、ここは本名で挨拶をするべきよね。
丁寧にお辞儀をすると、妖精は羽を広げて得意気に胸を張った。
「あんたがローナ姫ね」
フンと鼻を鳴らすと、小さな手をこちらへ伸ばしてくる。
握手をしようと右手をあげると、小さな手のひらにパチンと弾かれてしまった。
「魔法具を出せっつってんの」