xxxFORTUNE 〜恋の魔法〜
★火遊びと水の戯れ
ブレスレットを天に掲げ、見つめたまま考える。
さて、火の妖精が告げた言葉には、どんな意図があったのか。
あたしに降りかかる困難って?
それを、みんなが助けてくれるの?
「空なんか見上げて、何か面白いものでもありましたか?」
秋晴れの今日、日光浴がしたくて庭にやって来た。
いつの間にか左手が落ちて、ただぼーっと空を見つめてしまっていたらしい。
午前中だけ洋館の訪問を許された誠は、庭のベンチで読書をしている。
今回の本は、人を殺せそうなほど分厚くはなく、普段誠が持っている本よりひとまわり小さい。
本からあたしに視線をずらした誠は、目が合うと眼鏡を右手であげた。
それから眩しそうに、目を細める。
「ちょっとね、考え事をしていたの」
「考え事、ですか」
「今、何が起こってるんだろうって」
また、火が暴れ出したみたいに、何か物質に魔力の宿ることがあるのかしら。
そうしたら、魔法を使わなきゃいけない。
本来、人間界では魔法の使用が禁止されていたはずだけど。