xxxFORTUNE 〜恋の魔法〜
「これが妖精の魔力結晶なのね」
うっとりとため息混じりに呟く。
琴葉ちゃんの言う通り、この石には火の妖精の命が宿っているの。
小さな石になることで、大きな魔力の気配は弱くなる。
人間界で魔力の影響が及ばないようにするためね。
「ところで、楼那さんたちはここで何を?」
「日光浴をしてたの」
「僕は読書をしていました、あなたに邪魔されるまで」
ほんの少し嫌味を言う誠に、琴葉ちゃんは肩をすくめてごめんなさいと謝る。
そこで思いついた。
「ちょっと待ってて、ジョウロを持ってくるわ。
お花にお水をあげなくちゃ」
名前はよく知らないけれど、赤や紫、白に黄色……彩り様々な花が咲いている。
洋館の敷地内には、いくつか花壇があった。
そこの花は、あたしが一度エシャルに戻った後に洋館のみんなが植えたらしい。
せっかく天気がいいんだから、お水をあげたら植物たちが喜ぶわ。
2人のいる場所から少し洋館の入り口へ向かったところに、水道やジョウロがある。
ジョウロは群青色っぽくて、水がシャワーの形で出てくるものだ。
蛇口を捻ると、流れる音がし始めてから数秒後に水が出てきた。