xxxFORTUNE 〜恋の魔法〜
でも、なぜ突然ここへ?
疑問が浮かんだ瞬間、自分の置かれた状況を考えて答えが出た。
この水の暴走、そして箱こそが彼女の作り出した魔法。
あたしを閉じ込めて何をしたいのかは、わからない。
丁寧に挨拶してくれたってことは、お話し合いが目的なのかしら。
どちらにせよ、魔法を解かない限りは脱出は不可能そうね。
「このような形でしかお会いできず、姫様にはご無礼いたしますこと、どうかお許しください」
「そんなに改まらないで。
あたしのほうが、調子が狂っちゃいそうだわ」
刻々と足先に近づく水面。
杖を振ってシャボンを作り、その中に入った。
これで水に流されても、しばらくは呼吸できるはず。
とはいえ、実践は初めて。
水の妖精の魔法を相殺するとなれば、それなりの魔力が必要になる。
不安と緊張が押し寄せる中、彼女と目を合わせた。