xxxFORTUNE 〜恋の魔法〜
伏し目がちになった彼女は、長いまつげを揺らす。
再び顔をあげると、真っ直ぐ見据えられた。
「私たち妖精は、魔法使いが苦手なのです」
突然の告白に、きっと眉間にシワが寄っているであろう。
妖精が魔法使いを苦手としている……そんなこと、どの書にも記されてなかったわ。
近頃起こった問題なのかしら。
「かつては妖精も魔法使いも、共に助け合っていました。
ですが、いつの間にか妖精の居場所が失われていったのです」
「……どういうこと?」
「魔法使いが魔法を使う際の魔力が、私たちに影響を与えるのです」
ぼんやりと遠くを見つめる瞳が、少し曇って見える。
何か深い悲しみのような感情が、ひしひしと伝わってきた。
「あまりに強い魔力は、私たちの魔力と反発します。
そうして、私たちが管理している領域に乱れが生じ……世界のバランスが少しずつねじ曲がっていくのです」
ゆらりと、あたしに近付いた小さな彼女。
透き通った瞳で、透き通った声で、すべてを見透かされ洗脳されてしまいそうになる。
彼女の小さな指が、あたしの手に触れた。
「どうか姫様、私たちを救ってはいただけないでしょうか」
「救うって、何をどうやって……」