xxxFORTUNE 〜恋の魔法〜
あまりに強い風だったから、慌てて里音が窓を閉める。
あたしは風で乱れた髪を直しながら、違和感というか直感みたいなものを覚えた。
「うわっ、鈴どこ行くの」
佐久間さんから離れて、窓際に走っていく黒猫さん。
「台風でも来るのかな、迷惑だなぁ。
もう夏は過ぎたんじゃなかったっけ?」
「自然災害は予測ができませんからね。
いつ何が起こってもおかしくはありませんよ」
愚痴をこぼす恋千くんに、誠が何食わぬ顔で返事をしている。
今の季節は初秋らしい。
これからどんどん木々が色とりどりになるって、人間界にくる前に琴葉ちゃんから教わった。
「実際、今の時期なら台風来てもおかしくないよな。
残暑だし」
窓の外を向いたまま、異常気象がナントかって里音が話していた。
気温の変化が大きかったり、大雨や時には雹が降ることもあるらしい。
最近の人間界では、天気が気まぐれだって。
「学校行くのに天気悪い日とか最悪だよね。
世界のバランスが崩れてるのかも」
そう言って、恋千くんが笑う。
あたしはその言葉に、愛琉さんと顔を見合わせた。
この感じは───