xxxFORTUNE 〜恋の魔法〜



あまりに強い風だったから、慌てて里音が窓を閉める。

あたしは風で乱れた髪を直しながら、違和感というか直感みたいなものを覚えた。



「うわっ、鈴どこ行くの」

佐久間さんから離れて、窓際に走っていく黒猫さん。


「台風でも来るのかな、迷惑だなぁ。
もう夏は過ぎたんじゃなかったっけ?」

「自然災害は予測ができませんからね。
いつ何が起こってもおかしくはありませんよ」


愚痴をこぼす恋千くんに、誠が何食わぬ顔で返事をしている。


今の季節は初秋らしい。

これからどんどん木々が色とりどりになるって、人間界にくる前に琴葉ちゃんから教わった。



「実際、今の時期なら台風来てもおかしくないよな。
残暑だし」

窓の外を向いたまま、異常気象がナントかって里音が話していた。


気温の変化が大きかったり、大雨や時には雹が降ることもあるらしい。

最近の人間界では、天気が気まぐれだって。



「学校行くのに天気悪い日とか最悪だよね。
世界のバランスが崩れてるのかも」

そう言って、恋千くんが笑う。


あたしはその言葉に、愛琉さんと顔を見合わせた。

この感じは───






< 9 / 56 >

この作品をシェア

pagetop