チャリパイ・スピンオフ~テロリスト羽毛田尊南~

羽毛田は勢い良く、湯船から立ち上がった!


慌てて風呂から出て、脱衣所の自販機の裏に手を突っ込んで辺りを必死に探る。


「無い!!」


自販機の裏には、もう既に鍵は無かった!


すぐさま“三十番”の脱衣入れの扉を引っ張ってみると、鍵をかけた筈のそれは何なく開いてしまった。


「トランクが無くなっている!」


そして、あの先程から聞こえていた歌は、やはり羽毛田の携帯から発せられていた。


羽毛田の風貌からは、およそ似合わないその着メロに他の客は笑っていたが、そんな事はお構いなしに、羽毛田は携帯を掴んで電話に出た。


「もしもし!」


『ご苦労さん♪カネは、確かに受け取ったよ♪』


勝ち誇ったように、犯人が言った。


「鶴田教授はどこだ!」


『脱衣入れの中にメモが入っているだろ?』


犯人の言う通り、脱衣入れの中には、一枚の紙きれが入っていた。
そしてその紙には、こう書かれてあった。



【京王プラザホテル
2105号室】


< 34 / 94 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop