チャリパイ・スピンオフ~テロリスト羽毛田尊南~

羽毛は、犯人に感謝していた。


一億円は、元々“藪製薬”のカネである。
犯人に取られたところで羽毛田には何の損失も無い……それよりも、犯人が約束を守り鶴田教授の居場所が判った事が、何よりの収穫だった。


「待ってろよ!鶴田教授!今、助けに行ってやるぞ~!」


羽毛田は、早々に銭湯を後にし“京王プラザホテル”へ向かった。





おそらく、部屋には既に犯人の姿は無いに違いない。
という事は、鶴田教授はロープか何かで縛られ、口には猿ぐつわをされて身動きが出来ない様になっているであろう。


「あそこは、確か“オートロック”だったな……いざとなったら、ドアを蹴破ってやる!」


これで、長年悩んでいたスキンヘッドにも、一筋の希望の光が見えてきたというものだ。


羽毛田は、期待に躍る胸を撫でおろしながら、京王プラザホテルのエレベーターに乗り込んだ。


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