異世界の国のアリス
「......」
バサリッ
手に持っていたビニール袋が床に落ちた。
ベッドの上、そこにいたのは探してるウサギではなく
白いシャツに赤いベスト、黒のズボンを履いた男。
もう一度言おう、男が、いた。
しかもとても気持ち良さそうに寝ている。
どうしよう、どうしようどうしようどうしよう!
明らかに不審者、不法侵入、怪しい人
「......っ、」
ひゅっ、と喉が鳴る。叫べない、足が震えて動かない
「んっ、んー......」
タイミングよく寝返りをうった男の顔が見えた。
栗色の髪の毛に綺麗な肌、長いまつ毛に荒れしらずの唇
一言でいうと、イケメンだ。いや、今はそんなことどうでもいい
この状況をどうにかしないと......
混乱している頭をどーにか動かすけど、やっぱり上手く思考回路が回らない
寝室の床にピッタリと張り付いた足が動けばいいのに、
そんなことだけを思いながらもう一度男を見ると目があった。
目 が あ っ た !!
「っ!?」
「......あ、アリス?」
寝ぼけてるのか、掠れた声がまたイケメンな男は私をみながらアリスと言った。