エレーナ再びそれぞれの想い

白川シュウは、病弱なので自ら天使召喚術を使えず、そんなシュウの将来を心配した母、結衣が、息子のため天使を召喚し、シュウと契約するよう頼んだのだ。

　「あの、シュウ君、もしよかったら私と契約しませんか？」
エレーナは何を思ったのか、やや遠慮がちに打診してきた。
「いいんですか？　では宜しくお願いします」
契約の儀式が行われた。
「正規契約発動！　白川シュウ！」
大きな暖かい光がふたりを包んだ。
「ありがとうございます。これでお母さんを喜ばせられます」
結衣は大変喜んだ。
「病弱の貴方が、ふたりめの天使との契約を結ぶとはよくやったわね」
「えっ、いえ……」
シュウが天使を召喚した訳ではなかったが、そういうことにしておいた。
「エレーナさん、シュウの事、宜しくお願いしますね」
「はい」
結衣は、エレーナをとても歓迎した。
息子がふたりめの天使と契約出来たのがよほど嬉しかったのであろう。
「体の具合は、どうですか？」
「うん、何とか」
「私、シュウ君の体調が良くなるように協力しますね」
シュウから感じる不思議波動、暖かくて懐かしい。
慎一さんと同じ……なぜ？
エレーナは、いつもシュウと接するとき、戸惑いながらも優しい気持ちになった。

　天上界契約管理室
「私、あのシュウ君から何時も不思議な波動を感じるんです。
暖かくて懐かしい、宮原慎一さんと同じ波動です」
シュウの不思議な波動が気になってしょうがないエレーナは、契約管理官のジェシー・クリスタルに、彼の事を調べて欲しいと頼んだ。
ジェシーは、契約管理システムの端末を見て驚いた。
「お前が感じた波動、どうやら調べがついたぞ。これは驚いた。お前が指摘した通りだ。
お前が契約を取ってきてくれたおかげで、この契約管理システムにあいつの全ての情報が示された。
これを見ろ」
「これは！？」
情報を見たエレーナは、すごく驚いた。
「いろいろ調べてみたが、あの白川シュウという少年、やはり宮原慎一の生まれ変わりだ。
あの波動は、宮原慎一のものと同じだ。
契約管理システムは、過去の経歴が分かる。前世まで分かる場合もある」
エレーナは、戸惑いながらも嬉しく思った。
そして、シュウに今まで以上にとても優しく接するようになった。
シュウは、なぜエレーナがそこまでしてくれるのか分からない。
契約者だから？　エレーナの優しさは、契約関係以上だ。