エレーナ再びそれぞれの想い
シュウの母は、津波に巻き込まれた日、ある男性に発見され助けられた。
だが、母はショックで記憶喪失になっていた。
それから男性は、入院していたシュウの母の元に何度も見舞いに行った。
母の記憶は結局戻らないまま。
やがて母は、その男性と再婚。
シュウの父(夫)が津波で死んだことも知らずに。
シュウが病室で会ったのは、その男性との間に生まれた子供だったのだ。
郁乃がシュウを母親に返す事に慎重になったのは、それを知っていたからだ。
「そう、お母さんに会ってしまったのね」
郁乃は泣きじゃくるシュウを慰めた。
「じゃあ、私達のあの会話、聞いちゃったのね」
結衣はシュウを抱き抱えようとするが、シュウは激しく暴れた。
「申し訳ございません。シュウを母に逢わせてあげたかっただけなんです。
私が軽率なばかりにこんな事に」
中沼はひたすら謝った。
「貴方のせいじゃありません。隠し通すことは出来ません。
いつかは、本当の事を話さなければならなかったんです」
郁乃は、中沼を責めなかった。
シュウは荒れた。その荒れようは、凄まじいものだった。
せっかく母と再会出来たのに、母はまるで別人のようになっていた。
シュウは諦めきれず、それからも、母の病院へ行った。
白川家の皆が何度も止めたが、シュウはこっそり足を運んだのだ。
そして、病院の廊下から、母のいる病室をのぞいて過ごした。
中沼は、それに気づいていたが止めることは出来ず、シュウの納得いくようにさせるしかなかった。
少し離れた場所からシュウの様子を見ていた中沼は、胸が締めつけられる思いだった。
やがてシュウの母は、赤ん坊と共に退院、会えなくなった。
幼い子供が母を他人に取られたのだ。
それを諦めろというのはあまりにも酷な話しだった。
でも、シュウは母を諦め、白川家の人間として生きていくしかなかった。
シュウは幼いながらも、一生懸命白川本家の一員になろうと涙ぐましい努力しているのが、中沼にも、よく分かった。
せっかく新しい家族とうまくやってきたのに、新たな別の災害でそれすらも再び壊されたのだった。
だが、母はショックで記憶喪失になっていた。
それから男性は、入院していたシュウの母の元に何度も見舞いに行った。
母の記憶は結局戻らないまま。
やがて母は、その男性と再婚。
シュウの父(夫)が津波で死んだことも知らずに。
シュウが病室で会ったのは、その男性との間に生まれた子供だったのだ。
郁乃がシュウを母親に返す事に慎重になったのは、それを知っていたからだ。
「そう、お母さんに会ってしまったのね」
郁乃は泣きじゃくるシュウを慰めた。
「じゃあ、私達のあの会話、聞いちゃったのね」
結衣はシュウを抱き抱えようとするが、シュウは激しく暴れた。
「申し訳ございません。シュウを母に逢わせてあげたかっただけなんです。
私が軽率なばかりにこんな事に」
中沼はひたすら謝った。
「貴方のせいじゃありません。隠し通すことは出来ません。
いつかは、本当の事を話さなければならなかったんです」
郁乃は、中沼を責めなかった。
シュウは荒れた。その荒れようは、凄まじいものだった。
せっかく母と再会出来たのに、母はまるで別人のようになっていた。
シュウは諦めきれず、それからも、母の病院へ行った。
白川家の皆が何度も止めたが、シュウはこっそり足を運んだのだ。
そして、病院の廊下から、母のいる病室をのぞいて過ごした。
中沼は、それに気づいていたが止めることは出来ず、シュウの納得いくようにさせるしかなかった。
少し離れた場所からシュウの様子を見ていた中沼は、胸が締めつけられる思いだった。
やがてシュウの母は、赤ん坊と共に退院、会えなくなった。
幼い子供が母を他人に取られたのだ。
それを諦めろというのはあまりにも酷な話しだった。
でも、シュウは母を諦め、白川家の人間として生きていくしかなかった。
シュウは幼いながらも、一生懸命白川本家の一員になろうと涙ぐましい努力しているのが、中沼にも、よく分かった。
せっかく新しい家族とうまくやってきたのに、新たな別の災害でそれすらも再び壊されたのだった。