エレーナ再びそれぞれの想い
「そんな生い立ちだったんですか」
エレーナは涙が止まらなくなった。
「ご主人様」
プリシラも目を腫らした。居合わせた人々も皆、泣いた。
シュウは自分のことをあまり人に喋らない。
エレーナやプリシラは、今までシュウのことを余りにも知らなさすぎた。
「初めて出会った時、シュウ君の瞳の奥に、何か愁い帯びたものを感じたのは
これだったんですね」
契約からかなりの月日が経つのに、シュウのことをきちんと知ろうともせず、
何もしてやれなかったことをエレーナは悔やむしかなかった。
 
 契約管理官のジェシー・クリスタルが異変に気づき、駆けつけてきた。
「エレーナ、プリシラ、シュウの実家が土砂崩れで流された事、契約管理システムの端末で、全て確認したぞ。大変な事になっているじゃないか」
契約管理システムは、契約者の身に不幸が起きると全て判る。
そして契約者の過去の不幸歴、現在の精神状態まで調べられる。
「私達もたった今、執事の中沼さんから聞いたところです」
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