エレーナ再びそれぞれの想い
 その夜、シュウがエレーナとふたりで話す機会があった。
「さやかさんってなぜか、不思議な感じがします。
初対面のはずなのに、初めて会ったような気がしないんです。
以前、どこかで会ったような、何かこう、とても懐かしい気がするんです」
シュウが素直にさやかに対する感情を話す。
たとえ、シュウが生まれ変わって、生前の記憶を失くしていたとしても、シュウにとっては元姉。
懐かしくて当然。エレーナはそう思っていた。
エレーナは、シュウが前世、さやかと姉弟だったと、喉まで出掛かった言葉を抑えて、
「どうして、そう思うんですか?」
わざと聞いてみた。
だが、シュウは、
「それが、分からないんです」
エレーナは、本当の事を言うべきか悩んだが、かえってシュウを混乱させるだけだと、思い留まった。
エレーナは、シュウと長く接しているが、エレーナに対しては、特別な反応を示したことはなかった。
生まれ変わっても元姉弟。何か通じる物があるのだろうか。
いくら頑張っても、自分は姉のさやかにはかなわないかもしれない。
エレーナは複雑な気持ちだった。 
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