エレーナ再びそれぞれの想い
 美しき天上界…… 
穏やかで平和、そして幸せな日々。
エレーナをはじめ、たくさんの天使達との交流。
しかし、異変は既に起きていた。
徐々に減り始める天使達。
「エレーナさん?」
エレーナらしき天使にシュウが声を掛けてみたが、もういない。
「あれ、エレーナさんはどこ? プリシラさんとさやかさんもいない」
ようやくそれらしき人影を見つけたシュウ。
「エレーナさん、さやかさん」
だが、それはシュウからしだいに遠ざかって行く。
「みんな、待って下さい! 僕を置いていかないで!」
エレーナ、さやか、そしてプリシラも消えた。
気がつくと他の天使達も消え、誰もいなくなっていた。
独り天上界に取り残されたシュウ。
「エレーナさん!」

 飛び起きたシュウ。
「また夢……」
シュウは周りを見渡してみる。
ここは天上界、来客用の宿泊施設……
その時、シュウの部屋の前を天使達が通った。
シュウは、天使の気配に一瞬ホッとしたのもつかの間、天使達からこんな会話を耳にした。
「巨大樹の葉の色、だんだん黒ずんできているって。
このまま、清らかな心の人間が見つからなければ、ここは危なくなるよ」
「私達が助かる事はもう無理なのかな」
シュウは、天上界が危機にさらされている事を思い出した。
「エレーナさん! さやかさん!」
シュウは、とっさにふたりを呼んだ。 
だが、ふたりともいない。
シュウは、エレーナ達を捜しまわった。
「おい!そんなに慌ててどうしたのだ?」
ジェシー・クリスタルがシュウを見つけ、声を掛けて来た。
「ジェシーさん、さっき、天使達の会話を聴いちゃったんです。
エレーナさん達からも以前、聞いてはいますが、やっぱり天上界は滅んじゃうんですか?」
「巨大樹は力尽きかけている。もうあまり時間がないんだ」
「そんな……でも、天上界はこんなに平和じゃないですか!」
天上界は美しく、静かで平和そのもの。
シュウには、その天上界が滅びるなんてとても信じられない。
「確かに見た目は平和に見えるかもしれませんね。
でも、本当はそうじゃありません」
「その声は!」
背後から突然声がして、シュウが振り向くと、イザベラ・エレガンス幹部が立っていた

「巨大樹は、今の段階ではまだかろうじて、生きながらえています。
しかし、もうかなり限界に近い状態です」
エレガンス幹部は、シュウを巨大樹のもとへ連れていった。
 
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