エレーナ再びそれぞれの想い
　やがて、エレーナ、さやか、プリシラが戻って来た。
「シュウ君は？」
シュウを捜すエレーナにエレガンス幹部が、
「シュウならあそこにいます」
巨大樹の元に立つシュウを指さした。
「さっきからずっと、巨大樹を見つめたままなのです」
「何かあったのですか？」
シュウを心配するエレーナの問いかけに、エレガンス幹部は
「少し前に、今、天上界が置かれている状況、天上界が二つに分裂した事、そして、巨大樹の苗木の事など全て話しました。
それからずっと、あのような様子なのです」
エレーナ達の気配に気がついたシュウが振り返った。
「エレーナさん達、今戻られたんですか？」
「ところで、新天上界との交渉はどうでした？」
エレガンス幹部から結果を聞かれ、天使達は皆、落ち込んだ表情で首を横に振った。
「やはりそうですか。構いません。諦めずに続けて下さい」

　天上界幹部会会議室、
幹部達が集まり、エレーナ達が行っていた新天上界との交渉がまたもや不調に終わった事が報告された。
「マリアンヌさんの態度は頑なで私達がいくらお願いしても聞き入れてもらえませんでした」
エレーナからの報告に、
「やはり、だめでしたか」
三度目の交渉失敗という厳しい現実を突き付けられた幹部達、一同の間にも、絶望的な空気が少なからず広がった。
「あの、一つ質問させて下さい」
突然、エレーナが手を挙げた。
「巨大樹は確か、今から数千年前、人間界のマイナスエネルギーの暴走によって、この地に飛ばされて来た種が、偶然発芽して出来た物だと聞いた事があります。
ならば、人間界を探せば、同じ植物を見つけ出し、天上界の老木を世代交代させられるのでは？」

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