エレーナ再びそれぞれの想い
貴方はなるべく力を使ってはいけません。
でないとプリシラさんのようになってしまいます。
私達の前以外では、姿を消して下さい」
エレーナから、学校では絶対に目立たないように言われたサラ。
「分かっているわよ」
サラだって頭では分かってはいた。
天上界があんな状態じゃ、人間界でも歌えない事も。でも、ちょっぴり不満だった。
天上界が危機的な状況でなければ、今すぐにでもライブをやりたい気分だった。
サラはしばらく歌っていなかった。
やがて、サラが大きな翼を広げ、
「本契約発動! 市川まなみ」
と叫ぶと、光の柱がまなみとサラに降り注ぎ、シュウやエレーナ達の見守る中で、
ふたりの契約は、無事行われたのだった。

まなみが新たに加わったものの、巨大樹の生命力を回復させるにはまだまだ足りない。
だが、清らかな心を持った人間はなかなか見つからず、そんな時、宮原さやかは、
ある方法を思いついた。
「清らかな心を持った人間がいないのであれば、自分達の心を捧げればよい。
そうだ、これよ。サラさん、貴方も一緒に天上界に来て」
「ちょっと、待って。急にどうしたのよ」
さやかは、無理やりサラを天上界へ連れ出した。
 
 「貴方達の心を巨大樹に捧げるですって?」
話しの筋が分からず、エレガンス幹部は驚き戸惑うばかりだ。
「清らかな心を持つ人間がごくまれに、死後天使として転生することがあるんですよね?」
さやかが念のため、確認する。
「確かに、貴方達は天上界でもまれに見る、元人間の天使です。
でも貴方達の心を巨大樹に捧げるのと、どういう関係が?」
「私は、元人間。しかも清らかな心を持っていたから天使になれた。
つまり私なら、天使になってからも、人間の清き心が残っているかもしれないということです。
サラさんだって同じだと思います。
これを巨大樹に捧げれば、生命力が少しは回復するのではないでしょうか?」
さやかは、エレガンス幹部の前で自信の表情だ。
だが、エレガンス幹部は、
「私達天使は、巨大樹から、力をもらう身。
天使の心から、生命の源となるエネルギーを巨大樹に提供するなんて聞いた事がありません」
他の幹部からも、
「前例がありません。そんな事をしたら、どうなるか全く分からず、あまりにも危険過ぎます」
またもや、保守的な幹部達の否定の嵐にさらされた。
しかし、エレガンス幹部は、
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