エレーナ再びそれぞれの想い
「天使だって幸せになるべきだ」
その言葉は、エレーナ自身が前の契約者、宮原慎一から言われた言葉でもあった。
貴幸の思い出をを語るマリアンヌの頬を涙がつたった。
「そんなやり取りがあったんですか」
エレーナの涙が握り締めたマリアンヌの手にこぼれ落ちた。
「私は、貴幸を失った深い悲しみと絶望感に心を奪われ、貴幸の願いを叶えられなかっ
た。
天上界を離れたのは、その事への自責の念もあった。私は、天使失格ね」
エレーナとマリアンヌのやり取りを静かに見守っていた中沼が、突然何かに気づいた
ように口を開いた。
「その貴幸という方、白川家の者ではないでしょうか?
白川家三代前の当主にて、確か、今の白河家当主、郁乃様のの曾祖父にあたり、戦前か
ら戦中にかけ、ケーキ屋を営んでいて、終戦前、軍隊に撃たれて亡くなられたそうです
。
妻と、まだ幼い子供(郁乃の祖父)を残して……
その当主の名は、白川貴幸……」
マリアンヌは驚きのあまり、瞳を大きく見開いた。
「ばあちゃんのひいじいさん?」
シュウが聞き返すと、中沼は静かにうなずいた。
それにしても、何という偶然の巡り合わせか。それでも、偶然と言うしかない。
「自分が死んでも他者の幸せを願う清らかな心は、白川家にちゃんと代々受け継がれて
いるのね」
今まで苦しい表情ばかりしていたマリアンヌの顔が初めて緩んだ。
それは、実に穏やかな表情だった。
「あ、いえ、僕は養子なので血の繋がりはありませんが……」
シュウは、申し訳なさそうに、マリアンヌから目をそらしがちにそう言った。
「血の繋がりなんて関係ない。貴方の親は、後継者であるシュウに、ちゃんと清らかな
心を受け継がせ、育てて来た。立派な事よ」
シュウは、マリアンヌからそんな風に褒められるとは思わなかった。
その言葉は、エレーナ自身が前の契約者、宮原慎一から言われた言葉でもあった。
貴幸の思い出をを語るマリアンヌの頬を涙がつたった。
「そんなやり取りがあったんですか」
エレーナの涙が握り締めたマリアンヌの手にこぼれ落ちた。
「私は、貴幸を失った深い悲しみと絶望感に心を奪われ、貴幸の願いを叶えられなかっ
た。
天上界を離れたのは、その事への自責の念もあった。私は、天使失格ね」
エレーナとマリアンヌのやり取りを静かに見守っていた中沼が、突然何かに気づいた
ように口を開いた。
「その貴幸という方、白川家の者ではないでしょうか?
白川家三代前の当主にて、確か、今の白河家当主、郁乃様のの曾祖父にあたり、戦前か
ら戦中にかけ、ケーキ屋を営んでいて、終戦前、軍隊に撃たれて亡くなられたそうです
。
妻と、まだ幼い子供(郁乃の祖父)を残して……
その当主の名は、白川貴幸……」
マリアンヌは驚きのあまり、瞳を大きく見開いた。
「ばあちゃんのひいじいさん?」
シュウが聞き返すと、中沼は静かにうなずいた。
それにしても、何という偶然の巡り合わせか。それでも、偶然と言うしかない。
「自分が死んでも他者の幸せを願う清らかな心は、白川家にちゃんと代々受け継がれて
いるのね」
今まで苦しい表情ばかりしていたマリアンヌの顔が初めて緩んだ。
それは、実に穏やかな表情だった。
「あ、いえ、僕は養子なので血の繋がりはありませんが……」
シュウは、申し訳なさそうに、マリアンヌから目をそらしがちにそう言った。
「血の繋がりなんて関係ない。貴方の親は、後継者であるシュウに、ちゃんと清らかな
心を受け継がせ、育てて来た。立派な事よ」
シュウは、マリアンヌからそんな風に褒められるとは思わなかった。