エレーナ再びそれぞれの想い
終章
 「エレーナさん、無事だったのですね。ところでこれ、何の種でしょう?」
シュウのクラスメイトが植物の種を見つけて持ってきた。
「これは!」
それは巨大樹の種であった。
「これをどこで?」
「すぐそこに落ちていたんです。それにしてもずいぶん大きい種ですね。何の種でしょ
う?」
クラスメイトは巨大樹の種など見た事ない。
エレーナは、名陵学園由乃高校の校庭で種を育てる事にした。
種はよそでも見つかった。
それは、エレーナが気づかない所で芽を出した。
なぜか、天上界で倒れた巨大樹の種の一部が人間界へ降って来たのだった。
エレーナは、あちこちで見つけた巨大樹の種や苗木をかき集め、育てた。
そして、天上界へ運んだ。
天上界でも、すでに巨大樹の種が発芽したものがたくさんあった。
エレーナの使命は、巨大樹の苗木を大切に育て、いつか大木に成長させ、天上界を再建
する事だ。
エレーナなら必ず出来る。
やがて、消滅したり、深い眠りについた天使達が復活する日も必ず来るだろう。
それまで、エレーナは独りで頑張り続ける。
でも、エレーナはひとりじゃなかった。
名陵学園由乃高校のシュウのクラスメイト達は、巨大樹を育てるのを手伝った。
そして、エレーナによって目覚めさせられることを待ちわびる、眠ったままの天使達……
巨大樹が成長するには、年月がかかる。
巨大樹を育てるのは、シュウのクラスメイト達が卒業したあとも、先輩から後輩へと代
々引き継がれた。
巨大樹の成長を見に卒業生達も時々訪れた。
 

 
               終わり    
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