エレーナ再びそれぞれの想い
 翌日から、中沼相手に真紀の特訓が始まった。
だが、そう簡単に越えられる相手じゃない。
「また、真紀さんを見に来ていたんですか」
エレーナがやってきた。
「一ノ瀬さん、一生懸命やっていますから」
「でも、一ノ瀬さんはご主人様をいじめた人の手先でしょ? どうしてそこまで
するんですか?」
プリシラはシュウの気持ちが理解出来ない。
「僕、今はあの人を応援したいんです」

 いよいよ地区大会当日となった。
「一ノ瀬さん、がんばって下さい」
シュウは激励した。
「なぜ、お前がここにいる?」
真紀はシュウの姿に驚いた表情をした。
「クラスのみんなは、他の部活の試合、または応援で出かけています。
一ノ瀬さんは、誰も応援に来ていないですよね。だから今日は僕が応援します」
真紀は無表情のまま
「好きにしろ!」と答えた。
真紀は地区大会を勝ち抜き、県大会出場が決まった。
「おめでとうございます。県大会出場ですね」
シュウの祝福に、真紀は
「お前の協力が無くても、これぐらい当然だ」
と、相変わらず無愛想だったが、真紀は、特訓の成果を十分に感じていたのだ。
真紀のシュウに対する見方が変わり始めたのはこの時からだ。
柚原なつみが言うほどシュウは、この学校にとって害にはならないのではないかと思い始めた。

 
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