エレーナ再びそれぞれの想い
次の日、シュウのクラスでは、
担任の教師がシュウを紹介し、彼は挨拶。
担任は、昨日校内を案内してくれた佐倉先生だ。
「白川君は、実業家の何々家出身で……」
クラスの人々はざわついた。シュウを横目で見ながらヒソヒソ話をする人達。
「聞いた? 御坊ちゃんだって」
「いやだー!うそー?」
クラスメイト達は変な時期に来た転校生の噂をしている。
シュウの編入した学校は男嫌いの問題児ばかり。しかも、シュウのクラスは特にひどかった。
何やら訳ありそうな連中で教室はあふれている。
 1時間目がスタート。ホームルームの後の授業で、学級担任の授業だ。
授業は進行していった。いたって普通の授業。
シュウは幸せだと思っていた。
前の学校は荒れていて授業など成り立たなかったからだ。
シュウが望んだ平和で普通の授業。これからは毎日それを受けられる。
シュウは幸せを満喫していた。
だが幸せは長くは続かなかった。
授業が終わるとシュウは、さっそく女子生徒たちに取り囲まれた。
彼女達はシュウを睨みつけた。
その中のリーダー格の女がこう言った。
「うちの学校に転校してくるとは、いい度胸ね。この学校がどういうところかわかっているの?」
「名陵学園由乃高校、塚原と同じ系列ですよね」
「うちの学校を卒業までたどりつけた男子は独りもいないのよ」
シュウは
「どうしてですか?」
と思わず聞き返す。
「ここ入った男子は今までわずか数人。でも全員退学、転校に追い込まれた。
一応、表向きには共学ということになっているけど、私達は認めないからね」
彼女の名は、柚原なつみ。
この女、数いる男嫌いの女子の中でも特に男嫌い、学内男子を全て退学に追い込んだ首謀者だ。
これはシュウに対する女子達の宣戦布告を意味する。
女子達は、まずシュウのかばんを取り上げた。
「あっ返して!」
なつみはかばんの中身を机の上にすべてぶちまけた。
「教科書、ノート、筆記用具、それに携帯……中身はいたって普通か」
「返して下さい!」
シュウはかばんを奪い返そうとした。
そこへ、別の女がシュウののど元に竹刀を突きつけて制止した。
彼女の名は一ノ瀬真紀。いつも剣や竹刀を持ち歩き、なつみの側近中の側近のような存在だ。
なつみは、シュウの携帯を調べ始めた。
「あっそれは!」
女子達はもがくシュウを押さえつけた。
「特に問題はなさそうね……ほら、返すわよ」
なつみは軽く放り投げるように携帯をシュウに返した。
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