エレーナ再びそれぞれの想い
ジェシーが見たのと同じ、ほんの一瞬だったが。
エレーナはもう一度シュウをじっくりと見た。今度は、まともに見えた。
エレーナは、その時は気のせいだと思った。
「これは、お前が持っていろ」
ジェシーは、なつみから取り上げた護身刀をシュウに渡すと、天上界へ帰って行った。
 
 「この刀は……」
シュウは護身刀を眺める。
「その刀がどうかされたんですか?」
エレーナが刀に目をやった。
「この刀、どこかで見たような……」
シュウは思いだそうと考えた。
「思い出しました。実家でこれと同じ物を見たことがあります。
これは、白川家に代々伝わる護り刀で、どのような災いも、もののけも退けると言われています。
ほら、ここに白川家の家紋があるでしょ?」
シュウは家紋を指し示しながら護身刀の由来を説明した。
「でも、どうしてこれをなつみさんが持っていたのでしょうか?」
シュウにとっては不可解であった。
そしてもうひとつ……
なつみは、確かにこう言った。自分は昔、白川家に棄てられたと。
なつみが白川家を憎む理由とは……
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