エレーナ再びそれぞれの想い
 やがて展望台へと辿りついた4人
「なつみさん、御無事だったんですね」
エレーナは空から降りてくると、なつみを抱きしめた。
まなみとともに真紀も地上に降り立った。
「市川さん、真紀さんを連れて来てくれたんですね。ありがとうございます。
なつみさん、真紀さんが心配して迎えに来てくれましたよ」
シュウにも笑顔が戻った。
「本当に、御無事で何よりです」
真紀もなつみを抱きしめた。
「それじゃ、全員揃った事だし、帰りましょう。
私達天使と手を繋ぎ、円を組んで下さい」
エレーナが合図をすると、皆、手を繋ぎ始めた。
プリシラは、まなみ、真紀と手を繋いだ。
エレーナは、シュウと手を繋ぎ、なつみにも手を差し伸べた。
しかし、なつみはいつまでも手を繋がない。
「なつみさん、一緒に帰りましょう」
優しく微笑むエレーナ。
「私達も帰りましょう」 
真紀もなつみに手を差し伸べた。
ふたりに応えるようになつみも手を伸ばした。
真紀、なつみ、エレーナの手が繋がり、やがて、結ばれた6人の手が円陣を組み、エレーナ達の能力によって瞬間移動、クラスメイト達が待つ、ふもとの駐車場に辿り着いた。
 
「どこに行っていたんですか? 心配したんですよ」
佐倉先生がなつみの元に駆け寄った。
黒川も、なつみの無事に安堵した。
真紀は、シュウやエレーナ達にこんな事を言った。
「皆さんにお願いがあります。
私がいなくなった後も、なつみさんが独りにならないようにどうか宜しく頼みます」
真紀は、あれだけひどい仕打ちを受けても、文句ひとつ言うどころか、自分がいなくなった後のなつみを心配し続けているのだ。
 
 帰りのバスの車内、疲れているせいかあまり会話をする者もいなかったが、
一堂には、行きの車内のような殺伐とした雰囲気は無く、皆、安堵した様子だった。
なつみと真紀は言葉を交わすことは無かったが、どこか、見えない信頼関係で
繋がっているように見えた。
学校に到着すると、なつみの両親が駆けつけて来ていた。
なつみは、足をくじいている事も忘れ、両親の元に駆け寄ろうした。
「あっ痛い!」
なつみはよろめいた。
とっさに、真紀がなつみを支えた。
なつみは、真紀の肩を借りゆっくりと歩き、両親と対面。父親が、
「学校から連絡があって、なつみが下山しないと聞き、駆けつけてきた。
本当に無事でよかった」
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