エレーナ再びそれぞれの想い
14 解き明かされる真実
 なつみと真紀は仲直り出来た。
そしてクラスメイト達との関係も、表面的には解決したかのように見えた。
だが、なつみのシュウや、天使達、そして黒川に対する不信は、くすぶり続けていた。
そして、問題のあの写真だ。
なぜ、なつみの赤ん坊の頃の家族写真に、黒川が写っていたのか?
疑惑は深まるばかりだ。
 
 後日、なつみは、学校にあのアルバムを持ち込んだ。
そして、クラスメイト達に見えるようにわざと開いた。
「これを見て。この写真は私の赤ん坊の頃に家族で撮った物」
シュウやエレーナ達が写真を眺める。
「これが、なつみさん? 可愛いですね」
なつみがみんなに写真見せた意図など全く知らぬエレーナは、素直に感想を言った。
「そういう事じゃなくて、この写真を見て何か気づかない?」
なつみの言葉に、一同写真を注意深く見つめた。
「この、ベットに座っている女性、黒川さんにそっくりです。でもどうして黒川さんが?」
エレーナが写真の黒川に気づいた。
「本当だ。でもこれって本当に黒川さん? 他人のそら似では?」
プリシラは、偶然だと思った。
「だって、この人若いよ。15年以上前の写真でしょ。今は、結構いい歳じゃない?
黒川さんは、御主人様達と同い年でしょ? どう考えてもありえないわ」
プリシラは、写真の女性は年齢的に、黒川であるはずがないと思った。
これってまさか……
「黒川さんには、シオミ・クレハ・グランチェスタっていう天使が付いているのよ。黒川さんは、若返りたいと願った。シオミは、それを叶えた」
シュウは、なつみの言葉を思い出した。
 黒川は、写真を見ようとしなかった。
わざわざ写真を持ち込み、自分を追い詰めようとしている、なつみの意図に気づいた黒川は、静かに席を立ち、その場から逃げようとした。
なつみはすかさず、アルバムを黒川に突き付けた。
「これは」
黒川の顔色が変わった。懐かしい気持ちが黒川の中で込み上げてきた。
だが、その直後、
「どうして、私のとなりに貴方が写っているの?」
なつみの一言は、懐かしさなど一瞬に消し去り、氷剣のごとく黒川の心を突き刺し、
憎しみすら感じ取れた。
「それは……」
と言いかけて、いたたまれなくなった黒川は、その場から逃げ出す。
みんなで後を追った。黒川は、校舎の屋上まで来た。
黒川のかたわらには、なぜかシオミ・クレハ・グランチェスタがいる。

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