時空連鎖のクロノス
結局俺と郁奈は先生の探し物の手伝いをすることになった。
良樹が「俺はしらねぇぞ」と言って帰り、雪は「ふぁいとなのだよ唯鹿!私にはやらねばならぬことがあるのだ…」と言ってアニメを見に走り去り、真は「塾があるので…」と逃げた。 この島に塾なんてものはないのに。
とりあえず、待ち合わせの場所を神社から学校に変えた。
今は自主的に手伝いを申し出てくれた郁奈と一緒にいる。
探し始めてから一時間はたつけれど……
「ないんだよ……何回探しても」
「うーん…おかしいなぁ…確かにここで落としたのになぁ……これじゃぁ、今日使えないなぁ…ん…何回?」
「い、イイエ!なんでもないです。聞き間違いですよっ」
ふと郁奈を見ると、やっぱり郁奈は神社の祠をじっと見つめていた。
「郁奈?」
「えっ……あ。ごめんなさい。なに?」
「どうして祠を見てるんだ?」
「そ、それは……」
郁奈は慌てた様子で顔をふせる。
「あーーーーーっ」
先生が急に叫びだした。
また邪魔をされた。
「…村長さんとこですか?」
「ごめんっ!筒路くんっ阿万寿さん!先生うっかりしてた!」
先生は顔の前で手を合わせる。
「ん…?筒路くん、どうしてわかったの?」
「勘、です」
先生は首を少し傾げた。
「まぁ、いっか。…今日はお祭りだったわよね!それじゃ先生ちょっと村長さんとこ行ってくるわ!」
先生は駆け出す。
「二人とも、ありがとう!それじゃぁ、お祭りでねーー」