コイスルキモチ










「セ…セーフっ…」




校門を通り過ぎ、前かがみになってひざに手をつく。



そして息を整える。



陸上部だったというのに情けない…。




「あっぶねー!遅刻寸前ギリギリセーフ!」




誰かの声がした。



あたしが姿勢を戻すとき、ゴンッという音がした。




「いっ!!」




短く声を上げ、頭を抱える。



じ、地味に痛い…。




「ちょっと!」




あたしは怒って声を上げる。



すると、さっき来たであろうその人はこっちを振り向いた。




「…………」




言葉が出ない。



ガラス玉みたいに透き通った瞳。



風で揺れる栗色の髪。



整った顔。



その人から目が離せなかった。














< 4 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop