コイスルキモチ
後ろにいたのは、今朝あった性格悪いやつ。
「またあんた…」
「それはこっちの台詞だっつーの。あ、俺3組だ」
「あっそー。……見えない…」
背伸びをするが、さっきより人が多いので見えない。
すると後ろでフッという声が聞こえた。
「見えねーの?ダッセー」
その言葉にムカッとくる。
「べつに見えますー!」
舌をベーっとだし、頑張って背伸びをする。
それでも見えず、ピョンピョンととんでみる。
「…………」
結局見えず。
仕方ない、こーなったら……。
人を掻き分けて前に行こうとするあたしの肩を、あいつが掴む。
その行動にまたムカッとくる。
「ちょ、離し…」
「しょーがねぇから見てやるよ」
「え…」
「んーと…そーいえばお前、名前は?」
あ、そーいえば名前言ってないんだっけ。
あたしはそっぽを向いて
「桐生芽唯(Kiryu Mei)」
と無愛想に答えた。
「めい…ね」
そしておでこに手を当て、探し出した。