【中編】ビケトリシリーズ【エターナル・フレンズ】 ~出逢いと始まり~
母さんの声…?

あの人はどんな風に俺を呼んだ?

あの人はどんな風に笑った?

俺が生まれたときから今日までの母さんの断片的な記憶は覚えている。

たぶんそれは最後に俺が一瞬失いたくないと願ってしまった事で残った記憶の残骸なのだろう。

だけど、母さんの姿を思い出そうとすると霞みがかかったようにぼんやりと記憶が曖昧になる。

優しかった記憶や楽しかった事を思い出そうとすると何もかもが曖昧になってしまう。

まるで母さんと過ごした時間の全てが夢の中での出来事だったように。

< 109 / 144 >

この作品をシェア

pagetop