【中編】ビケトリシリーズ【エターナル・フレンズ】 ~出逢いと始まり~
巨木が枝を揺らし葉を鳴らす音が子守唄のようにサラサラと耳に優しく心を癒す。
それは森に満ちるように流れ、笑いながら走る僕たちを優しく包み込んでいた。
一瞬、その中に聞こえた優しく懐かしいその声に、ふと足を止め、耳を澄ました。
数メートル先には僕と同じように足を止め不思議そうに辺りを見回している二人がいる。
木々が歌う子守唄に紛れて、忘れてしまった筈の優しい声が胸を震わせたのは気のせいだったのだろうか。
二人に「隙あり!」とチャンスとばかりに追い抜くと森の出口へ向かって全速力で駆け出した。
「「ずるいぞ!暁っ」」
三人でふざけあいながら森を駆け抜ける間に、その声の事はすぐに僕らの記憶の奥底に消え去ってしまった。
―あなたを産んだこと誇りに思うよ…―
そう僕らを包んだ慈しむような愛情に満ちたあの声。
その声が誰のものだったのかを知るのは…
それぞれが運命の女性により封印が解かれた時。
それが胸の奥底で眠り続ける愛された日の記憶の欠片だったと知るのは…。
まだずっとずっと先の話。
++ Fin ++
あとがきへ…
それは森に満ちるように流れ、笑いながら走る僕たちを優しく包み込んでいた。
一瞬、その中に聞こえた優しく懐かしいその声に、ふと足を止め、耳を澄ました。
数メートル先には僕と同じように足を止め不思議そうに辺りを見回している二人がいる。
木々が歌う子守唄に紛れて、忘れてしまった筈の優しい声が胸を震わせたのは気のせいだったのだろうか。
二人に「隙あり!」とチャンスとばかりに追い抜くと森の出口へ向かって全速力で駆け出した。
「「ずるいぞ!暁っ」」
三人でふざけあいながら森を駆け抜ける間に、その声の事はすぐに僕らの記憶の奥底に消え去ってしまった。
―あなたを産んだこと誇りに思うよ…―
そう僕らを包んだ慈しむような愛情に満ちたあの声。
その声が誰のものだったのかを知るのは…
それぞれが運命の女性により封印が解かれた時。
それが胸の奥底で眠り続ける愛された日の記憶の欠片だったと知るのは…。
まだずっとずっと先の話。
++ Fin ++
あとがきへ…