【中編】ビケトリシリーズ【エターナル・フレンズ】 ~出逢いと始まり~
「しょ~ぉ。龍也かっこよかったんだよぉ
。あたしもう嬉しくて嬉しくて…。」

「あー、さくら。やっぱり泣いてたのか?
まったくお前は涙もろいんだから…。」

甘えるように見上げる母さんを見るとフニャっと情けない笑顔になる父さん。

黙っていればイイ男で通るはずなのに、母さんと一緒だと、どうしてこう、締まりの無い顔になるんだろう。

「とーさん…鼻の下伸びてる。」

今にも母さんを抱き寄せてキスしそうな父さんに冷たく一言。

常に冷静でこうして二人を諌(いさ)めるのが子供の俺の役目っていうもの変な話だと思う。

二人は本当に仲がいい。

こっちが照れくさくなるくらいだ。

自分の奥さんが世界一の美人だって、いつでも何処でも宣言して
『さくら、愛してるー!』
って、大声で叫ぶ事のできる父さんって、本当に母さんが好きなんだなって思う。

それで今まで俺がどんなに恥かしい思いをしたか…

思い出すのもウンザリなんだけど?

こんな両親を持った俺ってもしかしたら苦労人なのか…?


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