【中編】ビケトリシリーズ【エターナル・フレンズ】 ~出逢いと始まり~
佐々木は半信半疑と言う顔で暁を見つめていたが

やがて心を決めたように小さく呟いた。

「忘れたいんだ…。
優しい声も、抱きしめられた温かさも、母さんの香りも…。
全部全部記憶から消してしまいたいんだ。」

「後悔は…しない?とても大切な記憶だよ?もう戻らないかもしれないよ?」

「構わない。辛いんだ。母さんがもう帰らないのなら…こんな辛い記憶は必要ない。」

佐々木は俯いたまま震えていたが、涙は決して流そうとしなかった。


「僕の手を…取ってくれる?」

暁が佐々木の目の前に両手を差し出す。

佐々木は躊躇いながらも、その手へゆっくりと両手を伸ばした。

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