スイーツな関係
ワインに手をつけるのも……と、遥人が姿を現すのを待っていた。
しかしどう見ても、テーブルにセッティングしてあるのはひとり分。


遥人は一緒に食べられないってこと……?


ウエイトレスが前菜を運んできた。

色彩がキレイなテリーヌや、サーモンなどが美しく飾られている。
フォークを入れるのがもったいないくらい芸術的。
しばらくそのお皿とにらめっこ状態でいると、ふいに頭の上から遥人の声が聞こえてきた。


「あれ? まだ手をつけていなかったんだ」


シェフコート姿の遥人がいつの間にかテーブルの横に立っていた。


「遥人、いったい……」
「俺が作った料理を食べさせたかったんだ」
「でも、こんなテーブルじゃなくて良かったのに……」
「大丈夫。君はこの店のお得意様だろう?」

以前のことを言っているのだ。


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