スイーツな関係
「で、できれば……」


顔をじっと見つめられ、恥ずかしくなった私は言葉に詰まってしまう。

遥人がフッと笑う。


「10年くらい修業しないとね」
「えっ? 10、10年も?」
「レシピを見ながら作ればある程度のものは作れると思うけどね……」


思うけど……?


遥人は小首を傾げる私の左手をおもむろに持ち上げる。

月曜日に作った新しい傷はざっくり切ってしまい、まだ治っていない。
絆創膏が巻かれていないその指を持ちあげ、ちゅっと唇が触れる。


遥人の唇が触れた指先がポッと熱を帯びる。


「また傷を作ってるね」
「う、うん……私って思ったより不器用みたい」


遥人は私の手を両手で囲みながらクスッと笑う。


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